1998/12/15
出版社: 集英社 (新書1998)
水田 宗子 (著)
<本の紹介 >
この著書は、1993年から1998年に書かれたエッセイを収めたものである。
1990年代は今では、日本における戦後家族モデルの終焉を迎えた時期とし
て歴史が確定しているが、その時代状況の中で、米西海岸、ボストン、
ロンドン、中欧、上海、北京、本郷など作者が実際に訪れ、生活した具体
的な場所を起点として、また食べること、産むこと、育てることなど日常
的な女性領域の問題から「家族のあり方」を論じている。
近代女性・家族モデルの瓦解を実存主義的価値観から論破している点に加
え、バトラーよりもクリステヴァに親和性をもったフェミズム批評家とし
て、その出発点となった水田宗子の1960年代を辿ることができることは、
読者にとって興味深いだろう。(AI)
1996/12/15
出版社: 田畑書店 (1996/12)
水田 宗子 (著), 長谷川 啓 (著), 北田 幸恵 (著)
<本の紹介1>(「BOOK」データベースより)
母は男たちによって、いつも幼い日の夢とともに語られてきた。だが、娘にとっての母
は、男たちが語ってきたような、郷愁としての母物語ではありえない。娘にとっての母
とは何か。今、母にとっての娘とは…。女と女の関係、女同士の影響と絆、母娘関係の
葛藤の深層。変容する「母」とそのメタフォアを分析しつつ、「女という存在」を問い
直す。
<本の紹介2>(「MARC」データベースより)
男たちが「母」に抱くイメージは、娘にはありえない。娘にとっての母、母にとっての
娘とは何か? 女と女の関係、女同士の影響と絆、母娘関係の葛藤の深層など、変容する
「母」を分析しつつ、女という存在を問い直す。
1994/12/1
出版社: 田畑書店 (1994/12/1)
大庭 みな子 (著), 水田 宗子 (著)
<本の紹介>(「MARC」データベースより)
山にも里にも出没し、作中人物と同じように、解脱と欲望の世界を往き来する、そんな
山姥のような魅力をもつ作家大庭みな子と、近現代の女性表現について研究してきた水
田宗子の2人の対談集。
1993/12/15
出版社: 田畑書店 (1993/12)
水田 宗子 (著)
<本の紹介>
〈小説〉と〈物語〉との対立とその相補関係には、本来的にジェンダーの問題と視点が深く関わっていることを説きながら、表現の奥深くに隠蔽された女の内層や狂気の複雑な構造を探究し、女性の文学空間の全容を解き明かした書。例えばメアリー・シュリー「フランケンシュタイン」の、女の怨念や狂気というメタフォアとして屋根裏部屋に閉じ込められ、浄化の火で焼かれることによってのみ解放される物語の解析。円地文子「女坂」の、抑圧された深層を探究する女のルサンチマン物語はゴシック物語に変身していくという鋭い分析。また、内面への探究と深層への下降は、現代女性文学における女性の自己表現の原点を位置づける重要な要素であると指摘するなど、女性の想像力・創造力に迫ったフェミニズム批評の傑作である。(KH)
1991/03/15
出版社: 講談社 (1991/03)
水田 宗子 (著)
<本の紹介>
過去一世紀余にわたる日本と英米の女性文学の振幅ある軌跡を跡づけ、性差の文化解体
後の新たな問題まで論じた画期的な評論集。本書の最大の特色は、近現代女性文学の軌跡
を、「狂気」という視座から分析した点であろう。例えば、女性文学が女性の自我と表現
という問題に正面から向かい合った時、「狂気」をかけて戦わなければならない対象は、
社会との葛藤よりも深く父権制度にからめとられた内面と言語であったという指摘は創見
に富んでいる。また、女性は「制度」によって創られるばかりでなく、「制度」を支えて
きた存在でもあるという両義性の指摘もなされ、ジェンダー概念を取り入れたフェミニズム
批評の優れた達成と高く評価されている。(HI)
1990/06/15
出版社: 学陽書房 (1990/06)
水田 宗子 (編集)
<本の紹介>(「BOOK」データベースより)
変容の鍵をにぎる女性の視点から家族の現在を解き明かし、ポスト・ファミリーの可能
性を探る。日米女性学の成果を一堂に集めた「第一回環太平洋女性学会議女性と家族」
の記録。
1985/10/15
出版社: 田畑書店 (1985/10)
作者:E.アン・カプラン), 翻訳者: 水田 宗子
<本の紹介>なし
1982/12/17
出版社:田畑書店 (1982/12)※新たに「序」を付し1992に新版
水田 宗子 (著者)
<本の紹介>
日本のフェミニズム批評の古典的名著。女性を「原理」からではなく「制度」や
「自我」から捉えるという視点に立ち、女/男の二元的文化と表現の構造を包括的
にとらえた画期的な論集である。ジェーン・オースティン、ボーヴォワール、ドリス・
レッシング、シルヴィア・プラスなどの西欧の女性作家と、野上弥生子、宮本百合子、
大庭みな子、河野多恵子、富岡多恵子、高橋たか子、津島佑子らの日本の女性作家を、
自在に横断的比較文化的に論じ、女性が性役割を負う人物(ヒロイン)から文明の中の
自我の主体(ヒーロー)へと変容していく過程を鮮やかに追尋している。その後の日本
フェミニズム批評の基本的視点と方法を提示した画期的著作。刊行から三十五年を経た
今も本書はその輝きを失っていない。(SK)
1982/11/17
出版社: 南雲堂 (1982/11)
水田宗子 (著)
<本の紹介>
米国アイヴィ・リーグ名門校のイェール大学から早期に日本人として米文学Ph・Dを
取得した水田氏がそのためイェール大に提出した博士論文を基にする書。ミステリーや
怪奇小説の祖として現在も絶大な人気を誇る19世紀米国作家エドガー・アラン・ポーに
焦点を当てる本書は、とりわけ「グロテスク」や「アラベスク」等の複雑な文学概念を古
今東西の哲学者や美学者の論を引きつつ詳細に論じており、日本でのポー研究の古典と
も言える書となっている。「破壊を通して蘇生する、疎外からの回復劇」としてポー作品
を捉える本書は、後に著者が行うシルヴィア・プラス研究にも通じるもので、文学研究者
としての水田氏の原点を探る上でも興味尽きない。(FK)