1998/12/15
出版社: 集英社 (新書1998)
水田 宗子 (著)
<本の紹介 >
この著書は、1993年から1998年に書かれたエッセイを収めたものである。
1990年代は今では、日本における戦後家族モデルの終焉を迎えた時期とし
て歴史が確定しているが、その時代状況の中で、米西海岸、ボストン、
ロンドン、中欧、上海、北京、本郷など作者が実際に訪れ、生活した具体
的な場所を起点として、また食べること、産むこと、育てることなど日常
的な女性領域の問題から「家族のあり方」を論じている。
近代女性・家族モデルの瓦解を実存主義的価値観から論破している点に加
え、バトラーよりもクリステヴァに親和性をもったフェミズム批評家とし
て、その出発点となった水田宗子の1960年代を辿ることができることは、
読者にとって興味深いだろう。(AI)