1982/12/17
出版社:田畑書店 (1982/12)※新たに「序」を付し1992に新版
水田 宗子 (著者)
<本の紹介>
日本のフェミニズム批評の古典的名著。女性を「原理」からではなく「制度」や
「自我」から捉えるという視点に立ち、女/男の二元的文化と表現の構造を包括的
にとらえた画期的な論集である。ジェーン・オースティン、ボーヴォワール、ドリス・
レッシング、シルヴィア・プラスなどの西欧の女性作家と、野上弥生子、宮本百合子、
大庭みな子、河野多恵子、富岡多恵子、高橋たか子、津島佑子らの日本の女性作家を、
自在に横断的比較文化的に論じ、女性が性役割を負う人物(ヒロイン)から文明の中の
自我の主体(ヒーロー)へと変容していく過程を鮮やかに追尋している。その後の日本
フェミニズム批評の基本的視点と方法を提示した画期的著作。刊行から三十五年を経た
今も本書はその輝きを失っていない。(SK)