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水田宗子

評論

ことばが紡ぐ羽衣–女たちの旅の物語

1998/12/20

ことばが紡ぐ羽衣:女たちの旅の物語

出版社: 思潮社 (1998)

水田 宗子 (著者)

<本の紹介1>

感性豊かで自己意識の強い女性を縛り付けるジェンダー文化と家父長制という社会制度

を逃れるには生殖と性を拒否し、婚姻が女性を囲い込んできた「家と里」を出て、旅に

出るか、裏山へ逃げて山姥となるか、男性には予測もつかない狂気、ヒステリーの発作

という精神状態へ逃れるか、羽衣をまとうか、天馬にまたがって天に駆け上るか、ある

いは想像力という羽衣をまとって自己表現者となるのだという女性表現が近代批評の核心

となったと読み解くフェミニズム批評によって、「女性と移動」を「終わりのない旅」と

譬える作品である。1996年にネパールへ旅をして羽衣のように女性たちが身にまとう色鮮

やかなサリーを目にした水田さんが、女性の自己表現の深層を深くえぐる文章にして

『現代詩手帖』19972月号から19984月号に連載したものに、終章を加筆したものである。

ネパールへの女の旅を共にした者として、この大切な宝物を何度も読み返している。( YW)

 

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