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水田宗子

幕間

2017/08/14

裏切りは復讐と表裏一体をなしている。 それは裏切りとは法で裁けないからなのだろうか。あるいは裏切りとは結果が裏切られた者の完全な敗北を意味し、裏切った者の勝利、つまり裏切った者が権力を握るからであろうか。裏切られた者が死に追いやられ、あるいは社会的に抹殺されてしまうので、裏切りはその「裁き」が本人の手でなされることは少なく、残されたものによる復讐だけが名誉回復を果たす可能性があるのが常で、だからこそ「裏切り」が「裏切り」である所以なのだろう。 法とはいつも正義を守るものであるよりは体制を維持するためのものであり、「不当」であるとは体制を構成している規則に照らしてのことなのだ。裏切りとは裏で切るー殺すーことなのだから、卑怯であるだけではなく、法を犯してというイメージが強い。事実法廷は、体制の構成規則に従っているという理屈があれば、裏切り行為を正当化し、裏切った者を罰するどころか、逆に裏切られたものを犯罪者にもする。


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