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水田宗子

幕間

2017/08/17

一方で最近の映画「沈黙」(遠藤周作の小説の映画化)はキリストを否定した人たちの裏切り者という自己否定からの救済を目的とする思想的物語であると言えるだろう。生き残りのために、つまり自らの生命を全うするために、こころと身体を切り離して、「踏み絵」を裏切りとはみなさないという思想だ。しかし生き残った者たちの心が「生き残った」とは必ずしも言えない。裏切っても裏切らなくても犯罪者として、協力者として、「処罰」を受けることから逃れることのできない「踏み絵」を、最も罪深い「いじめ」、苦痛の極値を身体と心に与える権力による暴力的犯罪、人間性への罪だとし、犠牲者を人間として救済する思想を表明している。


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