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水田宗子

幕間

2017/08/16

復讐物語には実に多様な筋書きとストリーがある。復讐は法に逆らうので復讐するものが自分の命をかける物語が多い。ハムレットもその例である。日本の例をあげれば忠臣蔵。小林正樹の「切腹」では、家族を守り生き残るために武士としての矜持すら捨てようとした浪人の父が竹光で切腹させられたことに対する復讐物語で、息子がたった一人で自らの死をかけて、素手で復讐する話だ。そこには権力を持つ者の弱者いじめの極地が見られる。権力を握る者が体制を脅かす個人的な行為を認めることは少ない。(敵討ちでも親の仇、不倫をされた夫の名誉挽回などは、むしろ体制を維持するための武士としての義務として定められている。)従って、裏切りとその成敗としての復讐は、文学の中で「詩的正義」として生き続けて来たのだ。


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